
トンカチを持つと、何度も同じ場所を叩きたがる。
一見すると「ただ叩いているだけ」に見えるこの行動ですが、モンテッソーリの視点で見ると、そこには偶然ではない、はっきりとした意味があります。
それは、手と目と体を統合して使おうとする発達の表れです。
この時期の子どもにとって、上手に叩くことは目的ではありません。
「どこを、どれくらいの力で、どう動かせばいいのか」を、体そのもので確かめているのです。
この記事では、釘打ちやハンマートイに強く惹かれる時期を「釘打ちの敏感期」として捉え、この行動で何が育っているのかをまとめてみました。

・幼児教室指導員
・おもちゃコンサルタント
・知育玩具アドバイザー etc.
4歳子育て中の 1児母。モンテッソーリ教育に対して最初は懐疑的だったが理論を学ぶうちに解釈が変わる。一般的な幼児教室のカリキュラムを学んだほか、現在、3-6歳の国際モンテッソーリ教師修行中。
釘を打ちたがる敏感期ってどんな感じ?
元々、おもちゃの大工さんが好きでガンガンに叩きまくりながら生きてきた娘。
釘打ちするための基礎が出来てるなぁと思っていたので、少し、本物の釘打ちをさせたところ、止まらなくなりました。

釘がずらりと並ぶほど打ち続けていて、本当に敏感期って感じだったんですけど、私が与えた最初の釘打ちの活動があまり質が良くなくて、集中を途切れさせてしまっていました。
後半に載せてますが、手作りハンマートイを与えたところ、とても気に入って、集中現象が起きてます。
とにかく周りが見えなくなるほど次から次へと釘を打ち込んでいました。
釘打ちの敏感期に育っている力・見るポイントは?
釘打ちに夢中になる姿を見ると、「手先が器用になってきたのかな?」
そう感じる方も多いと思います。
確かに、釘打ちは指先や手首を使う活動です。
でも、この敏感期で育っている力は、それだけではありません。
釘を打つという行為は、「狙った場所に」「適切な力で」「繰り返し打つ」という、とても高度な動きを含んでいます。
子どもは、目で位置を確認し、手を動かし、力を調整しながら、結果を確かめています。
このとき育っているのは、目と手を正確に協応させる力、力加減を自分で調整する感覚、そして動作の順序を意識する力です。
一打一打の中で、「強すぎるとどうなるか」「弱いとどうなるか」を身体で学び、感覚を洗練させていきます。
また、釘打ちには明確な「目的」があります。
釘が入る、入らない、途中で止まる。
結果がはっきりと返ってくる活動だからこそ、子どもは自然と集中し、自分の行動を振り返ります。
これは、大人が教えなくても育っていく、自己修正の力です。
モンテッソーリ教育では、子どもが自分で間違いに気づき、やり直せる経験をとても大切にします。
釘打ちはまさに、その条件を満たした活動です。
さらに、釘打ちの繰り返しは、手・腕・体幹の安定につながり、後の書字活動や道具操作の土台を整えていきます。
同時に、「最後までやり遂げた」という内的な満足感が育ち、外から褒められなくても続けられる集中力や粘り強さにつながっていきます。
大人から見ると少し危なそうで、つい止めたくなる活動かもしれません。
でも、子どもが釘打ちに強く惹かれているとき、そこには「今、この力を育てたい」という内側からの強い衝動があります。
釘打ちに没頭する姿は、単なる遊びではなく、自分の身体と意思を一致させ、世界に働きかける力を育てている時間なのです。
釘打ちの敏感期への寄り添い方
この敏感期で大人が意識したいのは、「教えること」よりも安全に任せることです。
釘打ちの活動では、大人は正面に立たず、子どもの利き手側の斜め後ろに位置し、必要なときにだけ手を添えられる距離を保ちます。
まな手を持って誘導したり、振り下ろし方を修正する必要はありません。
釘が曲がったり、うまく入らなかったときも、すぐに直し方を示さず、子どもが自分で試し直す時間を待ちます。
「こうやるんだよ」「違うよ」と言いたくなる場面こそ、寄り添い方が問われます。
声をかけるなら、「今、どこを叩いてるかな」「釘、どうなってる?」と、見るポイントだけを返す程度に留めます。
力加減についても、「強すぎる」「弱い」と評価せず、結果をそのまま経験させます。
跳ねた、入らない、曲がった…
その一つひとつが、体で調整するための情報になります。
大人の役割は、危険な位置に手が入らないよう環境を整え、必要以上に介入しないことです。
活動時間は、大人の都合で区切らず、子どもが自然に区切りをつけるまで見守ります。
集中が切れた様子が見えたら、「もう一回やる?」と確認するだけで十分です。
安全を確保し、判断と調整を子どもに委ねること。それが、釘打ちの敏感期における具体的な寄り添い方になります。
釘打ちの敏感期が落ち着くサイン
- 叩く行為そのものへの執着が弱まる
- 作る・組み立てる活動へ関心が移る
- 釘よりネジ、構造へ興味が移行する
この時期は、無理に引き延ばす必要も、途中で止める必要もありません。



自然に、次の関心へ移っていきます。
手づくりハンマートイで、釘打ちにつながる動きを経験する
ハンマー&釘打ち好きな3歳の娘のために、100均材料でハンマートイを作りました!
叩きたい敏感期は結構長く続いておりまして、ハンマートイでの遊びがとにかく大好きなので、早く釘打ちの教具を整えたいと思っていましたが、ようやく重い腰をあげまして…作りました。
早速、娘に提供したところ…



コレ何〜?やってみるー!



かなり良いものが出来たので、食いつき良く、集中現象が起きました。
ハンマートイ好きな子はハマること間違いなし。
手作り教具は全くお勧めしない私ですが、これは、お勧めできる(笑)
手作りの教具を作る際は、本当に、難しくて。
活動がスムーズにいくこと、つまずきが出ないような仕組み、「出来た!」が感じやすいこと、手順がシンプル(なんとなく見た目からやり方が分かるレベル)などが条件だと思いますが、これがとにかく手作りだと条件を満たせないことが多い。
おもちゃだと5000円ほど出せばちゃんとした物を買えますので、手作りの時間が惜しいという人はこちらをどうぞ。



モンテッソーリ教具の販売会社で売られている製品も、これと類似しています。
【100均材料でDIY】簡単ハンマートイの作り方


3歳未満注意!パーツが小さいため、まだ、誤飲の恐れがあるお子様の使用は絶対におやめください。
- コルクボード(セリアが分厚くておすすめ!)
- スポンジタイプ薄めのタングラムなど
- 小さな入れ物(釘用)
- 釘
- ハンマー(小さめ)


釘を打ち込んでも地面に穴が開かないように、釘の長さを見越してコルクボードの厚みを調整します。
セリアのコルクボードは厚めなので、我が家は2枚でチャレンジしてみました。
長めの釘を最後まで打ち込まれると床に穴が開きますので、3枚あると安心です。



ボンドで接着しました。


マグネットが付いているタイプのスポンジはカッターを使って剥ぎ取りました。


シールタイプは2枚を貼り合わせました。


容器は透明で外から見えるようになってるもの、蓋の開閉が複雑すぎないものを意識しました。





完成です!
3歳娘が実際にハンマートイで遊んだ様子
危険な道具を扱うため、ご家庭の判断・責任において実施ください。


縫い刺しの活動でもやる「穴あけのお仕事」も出来ちゃいます。
カルコでやるのとそう変わらない要領でブスブス刺してました。


木材やダンボールの時と違い、打ちつけた時のトントン音も吸収してくれて、防音気味。
コルクボードって吸音力すごいです。


カナヅチと端材、カナヅチとダンボールなど色々な組み合わせでやってもらったことがあるのですが。
木材は一度開けた穴の中に打ち込んでいく方法でないと難しいですが樹種によって硬く、大人ですら釘打ち困難…(もしも木材でやるならスギ板が柔らかくてお勧め、ヒノキ硬い)
ダンボールは不安定&ほぼ指で突き刺せちゃうので、出来た感が薄かったんですよね。


打ちつけるパーツに関しては、フェルトなどでも代用できるかもしれませんが…


ですが、できれば、スポンジのこれ、理想的です。なぜなら、突き刺さって自立してくれるので、釘が打ちやすいんですー!
釘を指で持つのが怖いという場合でも上手く打てば、持たないままでも打ち込めちゃいます。
1. 子どもに合ったサイズの道具を使う
軽めの木製ハンマーや、子ども用の小さな金属ハンマーを用意する。
釘は短めのものや、安全性の高いプラスチックの釘でもOK。
2. 安全を確保する
釘は短めのものや、安全性の高いプラスチックの釘でもOK。
指を打たないように、釘を挟む道具(洗濯バサミなど)を使うと安心。







