
1歳になると必ず現れる敏感期の一つに、エスカレーターに乗りたがるというものがあると思います。
このエスカレーターに乗るということって、実は高度な能力が必要となる活動であり、ぜひとも敏感期を逃さずに身につけて欲しいものです。
まなエスカレーターに乗ることって、色んな能力を育ててくれますよ。


・幼児教室指導員
・おもちゃコンサルタント
・知育玩具アドバイザー etc.
4歳子育て中の 1児母。モンテッソーリ教育に対して最初は懐疑的だったが理論を学ぶうちに解釈が変わる。一般的な幼児教室のカリキュラムを学んだほか、現在、3-6歳の国際モンテッソーリ教師修行中。
エスカレーターに乗りたがる敏感期ってどんな感じ?


エスカレーターをエンドレスに往復するという現象が起こります。
エスカレーターを見つけたらダッシュし、恐ろしいほど永遠に乗り続けます。(どんなに遠くからでも発見する)
30分〜1時間、気が済むまで無心に付き合ってたことも…。



これは1歳前後の子、誰しもが通る敏感期だと思います。
1歳から始まり3歳になる頃には落ち着きました。
3歳になってからは、エスカレーターに乗ること自体は好きなので喜んで乗りますが、必要があって乗る時だけで終われます。



敏感期の間は、欲求が強過ぎて止められませんでした。
エスカレーターに乗りたがる敏感期に育っている力・見るポイントとは?
階段が動く向きであったり、階段に乗るタイミングであったり、最初は教えなければなりませんが、敏感期を経て、十分な回数乗ると、2歳3歳あたりでどちらも自分一人で出来るようになります。
娘は、2歳のうちに一人で乗り降り出来るようになっていました。(もちろん、実際に一人では乗らせませんが、乗る能力はあるという判断です)
私たち大人にとっては当たり前のことかもしれませんが、エスカレーターに乗るというのは子どもにとって難しいことです。
エスカレーターに乗るためには、いくつかの能力が備わっていないと出来ません。
- 動く階段を見る動体視力
- 階段の動き方を感じ取るリズム感
- 自分の足を置くタイミングのはかり方
- 全身を思い通りに動かせる力
- 動くものに乗った時にバランスを取れる体幹
このような力がなければ、エスカレーターには乗れないのです。
実際に、年長さん(6歳前後)や小学生になってからもエスカレーターに乗れないという子どもさんもいるくらいです。
もちろん、上に挙げたような力が、他の活動によって育っていれば、難なく乗れるようになるかもしれません。
ですが、乳幼児期は、実際に体験を通して学ぶ時期となりますので、エスカレーターに乗るためにはエスカレーターに乗ることで学ぶのが一番です。


本人のやる気のある時に、付き合うことで十分に能力を伸ばせます。
もしも乗りたい敏感期が来たら、時間がある人は少しだけ付き合ってみるといいかもしれません。



タイミングをはかる練習をすることで、予測する力が育ちますよ。
もしも、何回も練習しても乗れない場合は、上に挙げたような必要要素の部分を強化する遊びを日常で取り入れる必要があります。
エスカレーターを見ると、どうしても乗りたがる。
一段一段をじっと見つめ、タイミングをはかって足を出そうとする。
この行動は、好奇心や遊び心だけで起きているわけではありません。
この時期の子どもは、動いている環境に自分の身体を適応させたいという強い欲求を持っています。
モンテッソーリ教育では、幼児期を「身体を通して世界に適応していく時期」と捉えます。
エスカレーターは、床が動き続ける特殊な環境であり、子どもにとっては非常に挑戦的な対象です。
乗るタイミングを見極め、足を出し、体のバランスを取り、手すりにつかまる。
この一連の動作の中で、子どもは視覚情報と身体感覚を結びつけながら、自分の動きを調整しています。
失敗しそうになると、自然と力を入れ直したり、姿勢を変えたりする。
ここで育っているのは、バランス感覚、予測する力、そして自分の身体をコントロールする力です。
また、エスカレーターは「止まらない」という特徴を持っています。
子どもは、動き続けるものに身を置くことで、「今どう動けば安全か」「次はどうなるか」を身体で考えるようになります。
これは、頭で理解する前に、感覚を通して環境のルールを学んでいる状態です。
大人にとっては一瞬で済む動作でも、子どもにとっては、集中と勇気が必要な挑戦です。
無事に乗れたときの表情には、「できた」「自分でやれた」という内的な満足感が表れます。
もちろん、安全への配慮は欠かせません。
しかし、子どもがエスカレーターに惹かれる背景には、危ないことをしたい気持ちではなく、自分の身体を世界に合わせたいという発達の衝動があります。
エスカレーターに乗りたがる敏感期の寄り添い方
この敏感期では、大人は「教える人」ではなく、安全を確保する伴走者の立ち位置に立ちます。
エスカレーターに乗るときは、子どもの横、もしくは半歩後ろに立ち、いつでも手を添えられる距離を保ちます。手を引っ張ったり、先に大人が乗って誘導する必要はありません。
子どもが立ち位置やタイミングを迷っているときは、急かさず待ちます。
「早くして」「次が来るよ」といった声かけは、体で感じ取ろうとする集中を切ってしまいます。代わりに、「足元、どうなってるかな」「止まるところ、見えてる?」と、見るポイントだけをそっと示す声かけに留めます。
降りる場面でも、大人が先に動いて引き下ろすのではなく、子どもが自分で「降りる瞬間」を感じ取れるよう、少し間を取ります。うまくいかなかったとしても、すぐに正解を示さず、次の一回に委ねます。
混雑している時間帯や、子どもが周囲に意識を向けにくい状況では、無理に経験させる必要はありません。環境を選ぶことも、寄り添い方のひとつです。



安全を守りながら、判断と調整を子どもに返していく。それが、この敏感期における具体的な関わり方になります。
エスカレーターに乗りたがる敏感期が落ち着くサイン
エスカレーターに強い関心を示していた子どもも、やがて行動の質が少しずつ変わっていきます。
何度も乗りたがっていた時期を過ぎると、「乗ること」そのものへの執着が弱まり、エスカレーターの動きや周囲の人の流れを、少し距離を取って眺める姿が見られるようになります。
また、以前は必ず同じ位置に立ちたがっていたのに、足元を自分で確認しながら乗ったり、エスカレーター以外の階段やスロープにも目が向くようになることがあります。
これは怖さがなくなったからではなく、動く床という環境を十分に経験し、次の移動の形へ関心が移り始めたサインと捉えることができます。
エスカレーターに乗らなくなった=終わり、ではありません。



関心の中心が、「体の使い方」から「周囲との関係」へ移行している途中なのです。







