子どもの行動を見ていると、
「これって、どう受け止めたらいいんだろう」
そんなふうに戸惑う瞬間は、きっと誰にでもあると思います。
何度も同じことを繰り返したり、急に特定のものに強く執着したり。
周りの子と比べて落ち着きがないように見えると、不安になったり、「止めたほうがいいのかな」と迷ったりすることもあるかもしれません。
モンテッソーリ教育を知ると、「敏感期」という言葉に出会います。
でも、いざ目の前の子どもに当てはめようとすると、「これはどの敏感期?」「名前をどう考えればいいの?」と、かえって分からなくなることも少なくありません。
このページは、そんな迷いの中にいる方のためのものです。
まな敏感期を正しく分類するためでも、年齢ごとに判断するためでもありません。
目の前の子どもの行動を、少し違う角度から見直してみる。
この図鑑では、敏感期という考え方を、子どもを理解するための“見方”として使っています。



なぜ「〇〇の敏感期」と名づけているのか、その理由を、ここでゆっくり整理していきます。


・幼児教室指導員
・おもちゃコンサルタント
・知育玩具アドバイザー etc.
4歳子育て中の 1児母。モンテッソーリ教育に対して最初は懐疑的だったが理論を学ぶうちに解釈が変わる。一般的な幼児教室のカリキュラムを学んだほか、現在、3-6歳の国際モンテッソーリ教師修行中。
なぜ「〇〇の敏感期」と名づけるのか
「落とすのが好き」「引き出してばかりいる」「叩きたがる」「つかんで離さない」。
子どものこうした行動を見て、困ったり、不安になったりしたことはありませんか。
周りの子と比べて落ち着きがないように感じたり、「このままで大丈夫なのだろうか」と心配になったりすることもあるかもしれません。
このブログでは、そうした行動を「問題」として扱いません。
発達の途中に現れる、意味のあるサインとして見つめます。
子どもの行動には、必ず理由があります。



その理由を理解しようとすることが、この敏感期図鑑の出発点です。
敏感期とは何か
モンテッソーリ教育では、子どもには「敏感期」と呼ばれる特別な時期があると考えられています。
敏感期とは、ある能力を獲得するために、特定のことに強く惹きつけられる時期のことです。
この時期の子どもは、同じことを何度も繰り返し、周囲が驚くほどの集中力を見せることがあります。
敏感期は、運動、感覚、言語、秩序、社会性など、発達の分野ごとに整理されています。
なかでも0〜3歳頃は、運動の敏感期が非常に強く表れる時期です。
歩く、つかむ、運ぶ、叩くといった動きを通して、子どもは自分の身体を知り、世界と関わる方法を学んでいきます。


でも、私たちが日常で目にするのは「具体的な姿」
理論としては「運動の敏感期」と言われても、日常生活の中で私たちが目にするのは、もっと具体的な姿です。
何度も物を落とす、ティッシュを引き出し続ける、コロコロ掃除ばかりやりたがる、エスカレーターを見つけると必ず乗りたがる。



子どもは、ある時期にだけ、特定の物や場面、行為に異様なほど強く惹きつけられます。
この「偏りのある関心」こそが、敏感期が外から見える形で現れている姿です。
大人から見ると意味が分からないように思える行動も、子どもにとっては、今の自分に必要な経験を得るための必然なのです。
この図鑑の考え方
このブログの「敏感期図鑑」では、モンテッソーリ理論を土台にしながら、子どもの行動や関心の向かう先を手がかりに、敏感期を整理しています。
落とす敏感期、引き出す敏感期、つかむ敏感期といった「動き」に注目した名前もあれば、コロコロ掃除の敏感期、エスカレーターに乗りたがる敏感期のように、特定の物や場面そのものを入口にした名前もあります。
これらは新しい理論ではありません。
子どもをよく観察したときに見えてくる「今、この子が強く惹かれているもの」を、そのまま言葉にしているだけです。
抽象的な概念として敏感期を理解するのではなく、日常の中で気づきやすい形に置き直すことで、目の前の子どもの姿と理論が無理なく結びつくようにしています。
敏感期図鑑|この図鑑の命名ルールについて
― 行動・物・場面をどう扱うか ―
この敏感期図鑑では、「〇〇の敏感期」という名前を使って、子どもの行動や関心を整理しています。
ただし、その名前は、発達を厳密に分類するためのものではありません。
目の前の子どもを理解するための「入口」として使っています。
モンテッソーリ教育の敏感期は、本来「運動」「感覚」「言語」「秩序」など、発達の領域として語られます。
理論として整理すると、とても美しく、体系的です。
一方で、日常の子育ての中で私たちが出会うのは、そうした抽象的な分類ではありません。
「最近、コロコロ掃除ばかりやりたがる」「エスカレーターを見つけると、どうしても乗りたがる」「同じ場所を何度も往復する」。
親が感じる違和感や気づきは、いつも具体的です。
この図鑑では、その具体的な実感を大切にしたいと考えています。
この図鑑が「動作名」にこだわりすぎない理由
これまでのモンテッソーリ解説では、「落とす」「つかむ」「打つ」といった動作そのものに注目して敏感期を説明することが多くありました。
それは理論的にも正しく、発達を理解する上でとても有効な視点です。
ただ、この図鑑では、あえてすべてを動作名に押し込めることはしていません。
なぜなら、子どもが惹かれているのは、必ずしも「動作」だけとは限らないからです。
特定の道具、特定の場所、特定の状況そのものに、強く心を引きつけられる時期があります。
コロコロ掃除に夢中になる時期も、エスカレーターに乗りたがる時期も、そこには確かに「転がす」「運ばれる」といった運動要素があります。
でも、子どもにとっての入口は、「転がすという動作」ではなく、「コロコロそのもの」「エスカレーターという体験」であることが多いのです。
そのため、この図鑑では、親が「今、これに困っている」「今、これに惹かれている」と感じた言葉を、あえてそのままタイトルにすることがあります。
敏感期図鑑の命名ルール
この図鑑では、敏感期の名前を次のように考えています。
第一に、タイトルは「親の実感に近い言葉」を優先します。
「転がす敏感期」でも、「コロコロ掃除の敏感期」でも、その時期の子どもを一番よく表している言葉を使います。
正確さよりも、入口としての分かりやすさを大切にしています。
第二に、本文で必ず発達の背景を整理します。
タイトルが具体的であっても、その行動や関心が、どのような発達領域(運動・感覚・秩序など)と結びついているのかを説明します。
名前は感覚的でも、中身は理論につながっています。
第三に、「物・場面・行為」を排除しません。
教具、道具、場所、日常の場面も、すべて敏感期の現れとして扱います。
それらは単なる環境ではなく、子どもが今の自分に必要な経験を選び取った結果だからです。
第四に、分類の美しさより、観察のリアリティを優先します。
この図鑑の目的は、敏感期をきれいに分類することではありません。
目の前の子どもを理解することです。
そのため、多少分類が重なっていても、曖昧さが残っていても構わないと考えています。
この図鑑が目指していること
敏感期図鑑は、「正しい呼び方」を決めるための図鑑ではありません。
「これは何歳の、どの敏感期です」と断定するためのものでもありません。
今、目の前の子どもが何に強く惹かれているのか。
なぜ、それを繰り返したがるのか。
その背景に、どんな発達があるのか。
その問いを一緒に考えるための図鑑です。
「コロコロ掃除の敏感期」でも、「エスカレーターに乗りたがる敏感期」でも、そこから子どもを見る視点が生まれるなら、それは十分に意味のある名前だと考えています。
この図鑑の使い方
この図鑑を読むときは、年齢や月齢から探す必要はありません。
今、目の前で繰り返されている行動や関心からページを開いてみてください。
「やめさせる前に、観察する」ことを大切にしてください。
そして、関心が薄れてきたと感じたら、そっと手放す。



敏感期は、必ず始まり、必ず終わります。
最後に
この敏感期図鑑は、完成された分類表ではありません。
子どもの成長とともに、見え方が変わり、言葉も少しずつ更新されていく図鑑です。
大人が子どもを型にはめるためのものではなく、子どもを理解するために、大人の視点を柔らかくするためのものとして使ってもらえたら嬉しいです。








